剣道は長い年月をかけて培われてきた日本の伝統文化なので簡単に言い表すことは非常に難しいのですが、全日本剣道連盟は剣道の理念(目的)を
「剣の理法の修練による人間形成の道である」
と定義しています。
つまり剣道の稽古(練習)をすることによって人間を磨くということなのです。
では人間を磨くとはどういうことなのでしょうか?
それはみなさんが一度は聞いたことがある武道の有名な言葉の中に見ることができます。
「礼に始まって礼に終わる」
礼とは言うまでもなく礼節で、礼節とは相手を思いやる心のことです。
剣道には、他の競技にあるような、点を取ったり勝利した時にするガッツポーズはありません。それは負けた相手を思いやるからです。
剣道は、そもそも武士たちが剣をもって戦っていたところに端を発しています。武士たちは大事なもの(家名であったり、家族であったり、家臣であったり、先祖伝来の土地であったり様々ですが)を守る生死をかけた戦いの中で、死の恐怖を克服するために剣の修行を通して自らの精神を鍛え、それを超越しようと努めてきました。その中で武士たちは「死」というものを見つめなおし、そこに尊厳を見出していったのです。それを体得しようとすればするほど自らの内面を磨く、つまり謙虚であり誠実であることが求められたのではないでしょうか。そしてその発露が「礼節」だったのです。
江戸時代に入り争いのない時代になると生死をかけた戦いがなくなることで「剣術」となり、そこに様々な流派が生まれました。それらが融合し現在の剣道へとなりました。
このようにして剣道はうまれ受け継がれてきたので、今でも「礼」を大切にします。つまり剣道とは昔からある日本の心「思いやり」を大切にした伝統文化なのです。
そして現在、全日本剣道連盟は剣道修練の心構えを
「剣道を正しく真剣に学ぶことにより、心身を練磨し、旺盛なる気力を養い、剣道の特性を通じて、礼節を尊び、信義を重んじ、誠を尽くし、常に自己の修養に努め、以って国家社会を愛して広く人類の平和繁栄に寄与せんとするものである。」
としています。
剣道を通して人間を磨き、そこで学んだことを広く社会の繁栄のために貢献できる人間を育む、これこそが「剣道」なのです。
【『剣道って何?』メニュー】
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